背番号19を見て思う、ベイスターズ守護神の系譜~大魔神の幻影を追いかけて~


守護神山崎康晃を休ませたかった指揮官

8月18日
信じられない逆転負けを喫した指揮官は試合後記者団にこう話した

「山崎康は今まで連投していて、昨日(17日)の試合で腕の振りが思うようじゃなかったと言うのがあった。山崎康だけじゃなくて他の何人かの投手も連投が続いている。今日は山崎は休みにしました」

山崎康晃を休ませるための7回三上という継投
この采配の是非は置いといて
ここまでの山崎に勤続疲労があることだけは間違いない
52試合に登板して3勝2敗12H19S防御率1.81
まだ1カ月半ペナントレースが残っているにも関わらず
この登板数、登板過多であることは否めない
しかし一方でリリーフエースましてや守護神である以上
どんなシーズンでも多少の連投は仕方がない
飽くまで首脳陣がバランスを考えながら起用を考えていくしかない
今シーズン彼に3日間の連投(移動日を考えずに純粋に3日連続で投げるという意味で)をさせたのは
6月14日~16日だけの1度
考えながら起用していたとも言えるのだろうか
しかし試合だけの意味でいうところの3連投は4回、4連投が1度
やはり無理させていたことは否めない
それは守護神である彼にセーブがつかない場面でも投げさせていたことも原因のひとつだ
これはかつてベイスターズが優勝した98年の大魔神佐々木では有り得なかった起用だ

98年残り20試合を切るまで

19年前
横浜ベイスターズは首位を走っていた
前年惜しくも2位で終わったシーズンを糧に
「2位じゃダメなんだ、優勝しなければ意味がない」
CSなどという制度がない分今の選手たちよりも
優勝への渇望度合いは比べ物にならないだろう
98年ベイスターズの躍動の大きな原動力になったのは
大魔神佐々木の存在だ、それを証明するように
彼はこの年MVPと正力松太郎賞両方受賞した
この年51試合に登板して1勝1敗45S
まだ135試合制であったとはいえ
今シーズン109試合で
既にこの年の佐々木と同じだけ投げている山崎康晃の登板数がいかに多いものかはわかる
それは98年シーズン、監督権藤の確固たる起用法で
佐々木の登板数を抑えることが出来た
それは「セーブが付く場面でしか極力佐々木を登板させない」
佐々木に関しては9回1イニングのみでセーブが付く場面
この起用を守り
佐々木は4点差のリードであっても基本的に
登板することはなかった
そのためか
佐々木は8回3点リードでブルペンで肩を作っていたら
味方打線が追加点をとって登板がなくなり怒っていたこともしばしばあった
しかしこの起用法も権藤自らが勝負と位置付ける「残り20試合」になってからは
8回からの2イニングもセーブのつかない場面での登板も解禁し
見事10月8日に甲子園で38年ぶりの優勝を勝ち取った
この佐々木の起用法が佐々木を潰さずに日本一になった理由だろう

大魔神喪失後の守護神の系譜

しかしそれだけ気をつけて佐々木を起用しても
99年彼は怪我で離脱し肘にメスを入れることに成る
そしてこの年のオフ彼はメジャーリーグに挑戦する
大魔神佐々木亡き後のベイスターズはまさしく
ポスト大魔神探しの長い暗黒時代に突入する
佐々木が離脱した99年シーズン後半戦
横山、島田、五十嵐といった98年シーズンのリリーフ陣で
穴を埋めようとしたが彼らも前年の勤続疲労があり上手く機能せず
佐々木が抜けた00年は福盛とルーキー木塚で守護神を務めたが
大魔神のような安定感はない
しかし大魔神佐々木の幻影を追いかけるこの球団は
守護神をまず決めるという考えを捨てることはできない
それは指揮官が変わっても必ずクローザーで苦労した
2001年シーズンは新監督森が斎藤隆を守護神に転向させ
7勝1敗27S、2年目も1勝2敗20Sとまずますの成績を残すが
先発に強い拘りを持つ斎藤隆のモチベーションは下がった
ただ、その後の隆の野球人生を考えるとここでの守護神転向は
とても大きな財産になったが…
2003年シーズンは山下大輔監督が
ベイスターズに復帰したデニ―友利を守護神に据えたが
相変わらずのコントロールで試合をぶち壊すことが多く
1勝8敗7Sで防御率4点台
シーズン途中、山田監督と対立し
中日から守護神ギャラードをトレードで獲得し
0勝1敗8Sとまずまずの成績は残したが
100敗近い敗戦をする球団に守護神が誰がやろうと大きな意味はなかった
00年以降大魔神への幻影を追いかけても追いかけても
守護神が決まらないベイスターズはついに13億ものの大金をはたいて
ポスト大魔神探しを諦め大魔神そのものに守護神を任せる

“使えなくなった大魔陣”以降のベイスターズ守護神

2004年大魔神佐々木を再び大金叩いて呼びもどすが
かつてのような球のキレはなく
メジャーでも前年1勝2敗10Sで防御率4点台で終わっただけに
力の衰えは否定できず前半戦は名前だけで抑えたが
後半戦はヤクルトに3者連続本塁打を喫するなど打たれ始め
自ら「引退」を口にするなどメンタルも弱っていた
1勝2敗19Sでこのシーズンは終わり

周囲の説得でもう1年現役を続けたが翌シーズンは
我儘な引退登板を行うだけでユニフォームを脱いだ
その大魔神の引退する2005年シーズンからは
マーク・クル-ンを守護神に据え160キロの直球で
相手打者をキリキリ舞にし
ようやく佐々木以来のしっかりした守護神の誕生だった
05年シーズンから07年までの3年間で84Sをあげ
川村、加藤武治、木塚とクワトロKを結成し
2007年シーズンは最後までCSを争った
しかしクル-ンはこのオフ巨人に移籍
また守護神不在の時代が訪れる
2008年シーズンは前年12勝をあげた寺原を守護神にすえ
3勝9敗22Sをあげるが、肝心の先発が足りなくなるという事態に陥り
最下位転落
このシーズンから2012年まで5年連続このチームは最下位に沈む
その間も石井裕也を守護神に据えようとするも打たれ
2009年シーズン途中から山口俊が守護神として君臨する
しかし通算100Sをあげるもメンタルの弱さを克服できず
2013年にはソーサにその座を譲る
またしてもベイスターズの守護神は混迷の時代に入るかと思った
しかしここでベイスターズは守護神をルーキーに任せる起用に変わる

2年連続ルーキー守護神という作戦

2014年シーズン
ソーサ山口の不調で守護神がいない中
中畑監督はルーキー三上朋也を守護神に据えた
ルーキー守護神にするというのは
その選手の今後の野球人生を考えても非常にリスクが高い
かつて中日与田もそうだったが
ルーキーが抑えに回ると力をセーブできず
痛みも疲れも訴えることなく無理をしてしまうために登板過多が
勤続疲労を生みそれが怪我につながっていく
ルーキー守護神のリスクを承知の上で
中畑監督は三上に過酷な試練を与えた
4月29日の中日戦から野球人生ではじめてというクローザを任され
このシーズン65試合1勝4敗21S、結果を残した
しかし翌年は予想通り勤続疲労で前半戦を棒に振ってしまった

三上が前半戦怪我で離脱した2015年シーズン
守護神に指名されたのはまたしてもルーキー
山崎康晃だった
2年連続ルーキーに守護神を任せる起用は
関西ローカルのラジオで
“草野球じゃあるまいし”とバカにされていたが
結果これが20年近い年月を経て
ようやく見つかったポスト大魔神だった
この2年で70セーブ
性格も守護神向きで今年も守護神の座を守っている

守護神康晃が活かすために…

今年含めこの3シーズン
山崎康晃はしっかりと結果を残しているが
ルーキー時代から過酷な守護神を任され
休みなしでシーズンを戦う彼の勤続疲労は想像できない
昨年までの2年で117試合に登板しているが
既に今シーズンはここまで51試合に登板し
登板ペースは昨年一昨年を上回る
間違いなくこの2年の登板数を越え
今シーズンが最多登板数となるだろう
私は彼を来年再来年とは言わないが
どこかのタイミングで先発転向しないと
彼の肘肩は消耗して選手生命を早めるのではないかと
危惧しているが大魔神を越えるセーブ数に挑戦する
彼の姿も見てみたいと思う

彼が太く長く守護神として野球人生送るには
彼を預かる指揮官は起用法も考えていかなくてはならない

だからこそ、彼はセーブが付く場面以外では投げるのをやめても良かったのではないか
今シーズンセーブ該当場面以外での彼の起用が目立つ

背番号19
ポスト大魔神から大魔神越えを果たすために…

彼を潰さず活かして優勝を勝ち取って欲しい

ここまで読んでいただきありがとうございます
最後に応援クリックお願いします! (※ブログ村に移動します)
にほんブログ村 野球ブログ 横浜DeNAベイスターズへ

記事更新時に通知を受け取ることが出来ます。

関連記事

  1. いつもながら私のようなにわかファンにも、歴史がよくわかる記事ですね。
    康晃先発転向は、今シーズン春先調子悪い頃私もその方がいいのかなと思いましたが
    今の所今年はいい状態が続いているので、その後は考えなくなりましたが近い将来は一理ありますね。
    康晃に限らず、毎年中継ぎ、救援投手の登板過多がありますので今後首脳陣(未来の首脳陣含めて)
    が計画的な起用を心がけない限り潰れる投手が続出しますね。
    投手、捕手出身の監督あるいは、投手は投手コーチに一任するとか球団含めて首脳陣の編成を考えていただきたいものです。
    少しづつ先発も含めて投手が揃ってきているだけに、ここで逆戻りしないようにしてもらいたいですね。
    さあ、カープ戦どうなることやら。

    1. コメントありがとうごございます
      とらたろうさんは、俄かファンでは全くないですよ
      康晃の長い野球人生を考えるとどこかで先発転向という話はでるでしょうね
      しかし今日の劇的な勝利はしびれましたね、正直浮かれてはいけませんが今日は浮かれました

  2. 98年から今に至る守護神の系譜をこれだけよくまとめてくださいました。『あぁそうだった』と思い返しながら懐かしい思い出がよぎります。改めて系譜を見直してみるといかに球団フロントがその場凌ぎで済ませてきたことかよくわかります。とくに98年の優勝以降は大魔神佐々木に囚われ、先発や野手よりも絶対的抑えに固執してきた歴史を球団に感じます。記事のとおり球団はポスト大魔神に拘り、それが優勝した98年への原点回帰と考えているようですが、とても優勝に向け緻密に戦略されているとは思えない実態が浮き彫りになってきます。だから19年も優勝から遠ざかっているわけです。

    こうしてみると万年Bクラスに甘んじていた大きな責任は球団フロント側にあると言えます。98年への回顧が強いためにチーム全体を見渡し優勝に向けた編成がとれないでいるわけです。時代も20年近く経ち、試合数も増え、またオフシーズンもWBCなどの興行もあり、98年当時とはだいぶ状況も変わりました。抑え一人が盤石ならば優勝できると思うのは大きな間違いです。また親会社も変わりどこの球団も営利的になってきました。DeNAも選手の人気にあやかり観客動員数の伸びはリーグ一位だそうです。9回にヤスアキが登場する時の雰囲気はもはやアイドルのようです。試合が勝っていても負けていてもヤスアキが登場するのを待ち望むファンは大勢いますね。まぁこの辺りはパリーグの球団でも同じですが。広島や阪神あるいは巨人とも違うのは球団側の戦略であり、その辺りがベテラン玄人ファンを失望させる原因にもなっているのかもしれませんね。もっと本腰を入れてベイスターズが優勝を争えるように整備してほしいのですが、かつてのメジャー球団のように営利目的に走ると熱心なファンは白けてきますよね。そうなってほしくないと思います。

    1. コメントありがとうございます
      そうなんですね、まさに仰る通りで絶対的抑えに固執しすぎて本来の補強ポイントにずれがあったような気がします
      オフになったらこの暗黒時代の時の分析を記事にもっとしたいと思っています
      TBSからDeNAになってフロントが果たしてどの程度変わったのかなど調べて記事にしてみようと思います
      今日の試合実は東北ベイ党さんのこのコメントも記事に引用するつもりでしたが
      劇的な勝利でちょっと記事のテイストが変わってしまい引用できなかったのですが
      次の機会に一度引用させて下さい

  3. 貴殿が今日の記事を書かなくてもダミレス無駄遣い投手采配を私も数字で示そうと思っていた。
    私がなぜ、ダミレス批判をしている、これで他のコメンテイターの方も納得してもらいたい。
    下記が98年のリリーフ陣の 登板回数 投球回数である。
    登板回数 投球回数
    関口伊織  42    74.2(左腕:登板の中には先発8も含む)
    阿波野秀幸  50    54(左腕:関口、河原と使い分け投げていた)
    河原隆一   30    24.2(左腕:ワンポイントも多々あった)
    島田直也   54    61(島田が投げる日は五十嵐は投げなかった)
    五十嵐英樹  40    41.1(五十嵐が投げる日は島田は投げなかった)
    西清孝   22    24.1(ビハインドゲームの前半に出番多かった)
    横山道哉   53    70(ビハインドゲームのロングリリーフが多かった)
    佐々木主浩 51     56(防御率0.8後は多言せず)
    —————————————–(そして2017のリーリーフ陣)
    パットン  46    44.1
    田中健二郎 44    37.2
    砂田 毅樹  46    38
    三上 朋也  50    42
    加賀 繁   31    24.1
    須田幸太  21    15
    山崎康晃  52    49.2
    ——————————–
    敢えて詳細はいらないと思うがまだ8月というのに98年との登板回数の違い。そして98年は先発もあり
    完封勝ちまであった関口とロングリリーフ要員の横山を除けば、ほぼ1回は責任持たせて投げさせていたところに特徴がある。そして中継ぎ投手にもローテーションを与え、ほとんど連投は無しで休ませていた。これを徹底していたのが自身が「雨、雨、権藤、雨、権藤」数年で肩を壊し、投手起用に気遣いしていた権藤監督。(古い話しで若い人には申し訳ないが検索して下さい)

    8月22日現在で98年の1シーズン以上を投げている投手が殆どである。これで潰れない方が可笑しい。まして昨年も同様の使い方をしている。従って昨日書いたように来年は殆どのリーリーフ投手が潰れ、ファームで成長している投手もいないベイの暗黒時代の幕開けがしている。CSなどと浮かれている場合ではない緊急事態である。
    ともかくお願いだから、毎試合のようにリリーフ全員出勤の無駄遣い采配はやめてもらいたい。従って使うなら殆ど投げていない尾仲、平田をバンバン使い、疲れが見えたらファームからどんどん上げないと本当にベイの投手陣は崩壊してしまう。
    そしてこれまたどんど使えばいい飯塚をほぼ1週間大切にしまっての登板、完投勝ちでもしてもらわあいと他の投手がまた苦労する。私が監督なら雨で流れた翌日に起用か、捨て駒で菅野にぶつけるか巨人3戦目。まー巨人の初戦を落とし、平然としているダミレスほど一番焦りまくり丸出しの采配をし連敗を奏でている。

    1. コメントありがとうございます
      とても素晴らしい分析力のあるコメントです
      申し訳ありませんが記事に引用させていただきました
      しかし尾仲がやりましたね、春先からFOXさんが言ってきた通りでしたね

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。