背番号72川村丈夫、20年前の開幕投手の熱き思い…


20年前の開幕投手が再び

ファーム投手コーチとして現場に帰ってきた彼は
3年前と比べ強くなったこのチームを
どう思っているのだろうか
彼が現場を離れた2年の間で
このチームは2度CSを経験し
現役時代1度だけ彼が投げた大舞台日本シリーズも経験した
今や20年前のチーム状況に非常に似てきた
背番号72を付けたファーム投手コーチは
嘉手納キャンプで精力的に声を出している
38年ぶりの立役者の一人である彼は
大事な大事な開幕投手を任された

2年前の大抜擢

「最後はこいつのインテリジェンスにかけよう」
20年前
背番号72をつけた権藤博は
1998年の開幕投手を誰にするか決めかねていた
候補は3人
左のエースで先発一番の年長者野村弘樹
前年二桁勝利をあげ背番号18をつけ
自分が開幕投手と自ら宣言する三浦大輔
そして1年目に新人王を争いを演じた2年目の川村丈夫
多くのファンは三浦大輔を予想していた
しかし権藤はオープン戦ギリギリまで3人のうち誰を
開幕投手にするか決めずに彼らを争わせた
3人共オープン戦で結果を残し続けた
彼らの切磋琢磨した投げ合いは
オープン戦が調整の場なんて言葉を忘れるほどの争いだった
3人をオープン戦最後の試合の後監督室に呼んで
それぞれに第何戦を投げるか発表した
その中で背番号16の2年目の投手に開幕投手を任せた

厚木高校―立教大学のインテリ

川村丈夫を語る時
野球より前に彼のインテリな経歴に目がつく
県内有数の公立進学校厚木高校出身
進学校の野球部エース川村は
3年時県内春季大会でベスト4進出の立役者になる
90年の夏の大会準々決勝では川崎北の河原純一と延長16回を投げ合う死闘
これで彼の名前は県内では知られるものになる
野球の実力は折り紙つきであったが一般入試で慶応大学を受験するも落ちてしまい
立教大学に進学、そこでも野球を続ける
6大学で21勝あげた川村は日本石油に進み
そこでは都市対抗で優勝、96年のアトランタ五輪の代表にも選ばれた
かつてはバルセロナ五輪代表の小桧山を指名したこともあるように
五輪代表選手を指名するのが好きなベイスターズは
川村の逆指名に成功しドラフト1位指名で入団にこぎつける

98年の天国と地獄

プロ1年目の97年は開幕ローテーションの一角を担い
10勝7敗の成績、広島澤崎と最後まで新人王争いを演じる
そんな彼は2年目で開幕投手になるとは思ってもみなかったという
98年、7年ぶりの本拠地開幕となったベイスターズ
そこで川村丈夫は躍動
先頭打者の和田に初回に1本ヒットを打たれたが
それ以降は1本のヒットも許さず完封勝利
8-0と大勝
この年の開幕3連勝のきっかけを作ったのは川村だった
その後前半戦だけで8勝をあげオールスターにも選出される
しかし後半戦疲労もあったのか打たれ始める
特に一発を浴びることが多く
勝てなくなり気付けば後半戦1勝も出来ないままシーズンを終えた
それでも10月8日ベイスターズは38年ぶりに優勝する

日本シリーズでの好投

38年ぶりに出場した日本シリーズで
川村が投げる機会はなかなか訪れなかった
第1戦はエース野村
第2戦は前年の怪我から復帰した斎藤隆
第3戦は三浦大輔
雨天中止も多かったこのシリーズでは
登板間隔も空き
第4戦は野村、第5戦は斎藤隆が投げた
第6戦王手を賭けてハマスタに帰ってきたベイスターズは
先発に3戦目に打ちこまれた三浦でなく川村を任せる
権藤は川村に第6戦前こう告げた
「今年最初はお前だったんだから、最後もお前が締めろ」
この言葉を粋に感じ彼は第6戦7回を無失点に抑えて
ベイスターズは日本一に導く
2年目で彼はプロで欲しい全てを手に入れたといっても良かった

リリーフ転向も2段モーション禁止で引退へ

優勝した翌年は自己最多の17勝をあげた
エースとしての自覚も生まれ始めていたが
翌年以降疲労もあったのか肘が下がり始め
調子を落とし勝てなくなっていく
2002年にはついに1勝も勝てなくなる
しかし2005年にリリーフとして結果を残すようになり
56試合に登板し防御率2.31
加藤武治、木塚、クル-ンと共に
クワトロKと呼ばれる勝ちパタン―ンを形成する
ただ、06年からの2段モーション禁止が川村を苦しめ
先発転向するも結果を残せず
2008年に引退する
98年に開幕を任されて10年…
彼はユニフォームを脱いだ

背番号72の大きな意味

引退した翌年から投手コーチに就任した川村
彼の言葉は丁寧で含蓄もあるために
選手は非常に吸収しやすいという
彼は2013年から3年間ベイスターズの投手コーチを務めた
中畑監督の下3年間
まだ投手陣が整備されていない中で
必死に若手投手を上手くやりくりしていたように見える
そして彼は常に選手の側に立つ
2014年のことだ
リリーフで結果を残せなった山口俊を先発に転向すると
中畑監督が決断した時
最後まで反対していたのは川村だったと言う
2009年からファームで山口に一番を目をかけ
彼に熱心にアドバイスをしていた
そして山口は守護神として1軍の舞台で活躍する
山口の努力を知っているからこそ
そう簡単に彼を先発に転向することに賛成出来なかったという
山口が先発転向に大成功したのは今となっては皮肉だが…

2015年頃から川村の投手コーチとしての資質に
一部のファンからは疑問がわき
チームの防御率が悪いのを川村1人に責任を負わせる暴論もあったが
彼が決して悪いコーチだと思わない
あの投手陣でよくやりくりしてくれたと思う
また彼についてはファームでしっかり若い投手を育成する場であれば
力を発揮できると思う

今年2年ぶりに現場に復帰した彼は
背番号72をつけた

かつて自身に開幕投手を告げた恩師の背負った番号だ
彼を見ていると20年前の権藤とオーバーラップする

20年前の開幕投手は
今再びチームを夢の舞台へ導こうとしている

ファンも彼に期待している
「彼のインテリジェンスにかけてみたい」と

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  1. 快星会さん、お久しぶりです。
    権藤さんと川村の絡みにはロマンがありますよね。権藤さんの勝負師としての面目躍如の場面でした。
    川村には他球団、できればパリーグでもコーチ経験を積んでもらいたかったのですが。
    そして、生え抜きのGMになってほしいというのが小生の希望なのですがそこまでは無理かな。
    快星会さんのますますのご健筆を期待しております。

    1. コメントありがとうございます
      お久しぶりです
      私も同じように川村のGM就任は強く願っています
      ですから、2年前にフロント入りした時は、GMのための準備に入るのかと思いましたが
      現場復帰になりました
      今年もまたお時間ある時批評お願い致します

  2. 相変わらず詳しいですね!
    副会長さん、更には役員総出?の素晴らしい内容で最近のファンさんには勉強になるし、オールドファンは記憶が蘇って来ます。

    確かに98年の開幕投手は、私も川村ではなく、三浦か野村をを予想していたが、忘れもしない1安打ピッチングに歓喜しました!

    山口の先発転向に反対していたのは知りませんでしたが、あれだけ頼りない抑えでは転向やむなしだし、
    努力しているからで、反対したなら少し心もとない気がします!
    でも、それも経験に活かして、72に恥じないコーチとして、ダミレスに進言して貰いたい!
    川村のコーチとしての力量が問われるのはまさに今年だと思います。

    1. コメントありがとうございます
      記事に関しては私(勝手に会長と名乗っていますが)が基本的に分析、資料集め含め行って書いています
      ですから記事の全責任は会長の私ですね
      副会長と呼んでいる彼はこのブログのページのシステムやらをやってもらっています
      時々記事を書いてもらったり資料を作ってもらったりもしています
      ただ、他にメンバーはいません笑
      ですから記事に対してFOXさんやとらたろうさんなど多くのコメンテ―タ-の方の意見が本当に大事で大切にしています
      横浜快星会とは…というページでもそのあたりのこと紹介しています

      さて、川村が果たしてファームでしっかり育成してもらって1人でも多くの若手選手を輩出して欲しいですね
      近い将来、彼に次ぐ開幕完封投手を育成して欲しいですね

  3. 川村コーチもジュニアスクールで、お見かけしました。
    体が年齢の割に大きく見えた印象があります。
    (あまり意味のないコメントですが..笑)
    ベイスターズのファーム投手は、伸び悩んでいる選手が多いので一人でも多く1軍で活躍できる選手を
    育ててもらいたいですね。
    そもそもコーチの評価って難しい部分ありますよね。
    凄い才能ある選手ばかりだと、すぐに活躍するようになって評価されることも
    プロだから才能はみんなあるんでしょうが、結局選手が頑張らない事には有能なコーチでも
    選手も大成しないでしょうし。
    やはり教え方がうまいとか、分かりやすい、技術論がしっかりしているという所が
    選手にとっていいコーチなんでしょうか?
    でもそういう判断基準ってフロントはどういう部分で見極めているんでしょうか?
    なかなか見えない部分で難しいのですが、コーチの評価も明確な部分がある球団は強くなるような
    気がしている今日この頃です。

    1. コメントありがとうございます
      確か昨年川村はベイスターズジュニアの監督もやっていましたが
      川村も尚典も少年たちを指導したことで勉強になると話していますね
      コーチの評価は難しいですよね、その人がたまたまコーチをやっていた時に有望な選手がいて
      その選手が主力になると「○○を育てたコーチ」という名前で紹介されますが
      一方でそのコーチが辞めた後に育ち後に「辞めた○○さんの指導を守って成長になりました」と話す選手もいますし
      コーチへの評価は難しいですよね
      今はBOSとっているので言ってみればコーチの独特な指導法とうのは見られなくなりましたし
      余計にコーチの評価は難しいですね
      こう言っては何ですが嶋村や柳田など現役時代は特別実績があったわけでもない人物が
      ベイスターズのファームで指導していますが、その彼らも指導者としては素晴らしいのかもしれないし評価となると難しいですね

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